※こころシリーズ、ですがちょっと異色かも。
「どうしようもないでしょうに」
彼女は言った。
「考えたら、答えが出るの?違うでしょう」
「…そう、ね」
「結局は堂々巡り、あなたは望む答えなんて得られない」
あぁ、確かにその通りだ。
彼女の言葉はいつだって正論で、あたしは少しだけ笑う。
「ねぇだけど、それでもそばに居たいって思ったのよ」
「…苦しくても?泣くって分かってる未来が在っても?」
「そう。苦しくてもいつかに泣いても」
だけど、だけどね。
それでも隣にいたいと願ったのは、ほんとう。
愚かだと笑うだろうか、だけど嘲笑と憫笑を重ねた後、きっと彼女は泣いてくれるだろう。
「…ばかね」
「うん、」
「ばかだわ、本当に」
触れるのは温度のない指。
あたしはあなた、あなたはあたし。
寄り添うのは、並行した世界ではないのだから。
「…ごめんね」
そして、分かっていて呟くあたしはきっとずるいのだ。
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