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書きたいものを、書きたいときに、書きたいだけ。お立ち寄りの際は御足下にご注意くださいませ。 はじめましての方は『はじめに』をご一読ください。
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    05 彼女は風の女王様

    ※彼と彼女。
    彼女お誕生日祝い。



    あたしの世界はからっぽでした。
    世界には何もなく、ただただ茫洋と延々と、どうしようもなく広い空間が広がっているだけでした。

    あたし以外の何もなく、けれど世界は決して二分化されることもなく。
    何もないことだけが在る、それがあたしの世界でした。

    あたしは一人でした。
    ずっとずっと、一人でした。
    それがあたしには当たり前でした。
    絶望的なくらい、当たり前でした。


    唯一持っていたのは、奇妙な奇妙な力でした。
    おかしな力、それはあたしからたくさんのものを奪います。
    舞い上げ、切り裂き、何もかもを破壊する絶対的な力。
    あたしにとっては手足のように存在する、ものでした。

    あたしは、バケモノの娘です。
    人から生まれた、醜い魔物です。
    外見だけは皮肉なくらいに綺麗に整えられて生まれたけれど、中身はとても醜悪で、劣悪で、途方もなく最低な代物です。


    嗚呼、だけど、それを。

    淋しいと思うことすら、知りませんでした。
    哀しいと泣くことさえ、分かりませんでした。
    理不尽さに怒ることも、絶望して笑うことも、あたしには無縁のものでした。

    感情を知らない、あたしは紛れもなくバケモノでした。



    広くひろい、何もない世界。
    ある日、そこに他人がやってきました。

    綺麗な顔をした男の子。
    彼はあたしの境界線をあっさりと踏み越えるのです。

    日常をかき乱して、あたしのペースなんてお構いなしに心臓を揺らすのです。
    当たり前のように隣に居て、笑って、からっぽの空間をあっという間に満たしていくのです。
    あたしを叱り、あたしの為に泣き、あたしと一緒に笑います。
    そんあことをする人を、あたしは知りもしませんでした。


    体温は上がり、世界は色めき、耳に届く音は心地よく。
    何もないと思っていた世界は、本当は色彩に恵まれた場所でした。
    気付いたのは、くるりと季節が変わったころ。

    そうして進み続ける時間の中、あたしの世界は今もなお。
    いつまでだって、彩られているのです。

    「ねぇ、」
    「なに?」
    「……生まれてきてくれて、ありがとう」

    ほら、またひとつ。
    君がそう言ってくれるから、あたしはかつての自分にキスが出来るの。

    愛した世界、そこに居るのはいつだって、君。



    (ハッピーバースディ ディア マイドール!!)




    滑り込みアウトです、今回もです。
    今日(もう昨日)は彼女、風姫さんの誕生日でした。
    10月2日、トニーの日です。
    誰だトニーって(笑)

    「~でした」「~なのです」って書き方がしたかった…とりあえず満足。
    ほんとはわたしと同い年ですが、諸事情により永遠の17歳をやってもらってます←

    もう五年?六年?七年?くらい一緒に居る風姫さん。
    お誕生日おめでとう、なお話でした。
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    階段の神様  02

    ※階段の神様。



    息を吸い込むと、舞い上がった埃が肺に入ってきそうだ。
    カーディガンの袖で口元を覆って、一気に階段を駆け上がる。
    ポケットの中のデジカメが、弾むようにゆれる。

    「っと…」

    屋上に続く北階段の、最後の一段を強く踏んだ。
    気候のいいときは屋上もここも弁当を持った生徒で賑わっているのだけれど、十一月も終わりに近づくとさすがに寄り付く生徒はいないらしい。
    寒いもんな、うん。
    俺も理由がなきゃ絶対来ないよ。

    重たい扉を開けると、北風が思いっきり吹きつける。

    「さっむ…!!」

    やばいやばいやばい、これ絶対凍る。
    十一月でこれじゃ、今年の冬俺生きて行けるだろうか。

    予想以上の寒さに一瞬ひるみそうになるけれど、なんとか奮い立たせて外に出た。
    出てから、寒さに負けて扉を閉めなくてよかったと思う。
    出迎えたのは、望んだ景色だ。

    うちの学校は、緩やかな坂道を登ったところに建っている。
    そのため、見晴らしがなかなかに良いのだ。
    晴れた空の下、遠くまで家々が連なっているのが一望できる。
    しかもこの辺は高級住宅街というやつで、目に入る外装なんかも凝っていて楽しい。
    姉から貰ったデジカメで、此処からの眺めを撮ってみたくなったのだ。

    「うっわ冷てぇ…!」

    フェンスをつかむと、あまりの冷たさに背筋まで寒気が走る。
    …とりあえず、二三枚撮ったらすぐ帰ろう。
    なんかあったかい飲み物でも買って、飲みながら帰ろう…!!

    「よい、しょっと」

    写真を撮るにはフェンスが邪魔だ。
    ちょっと危ないかな、とは思ったけど、少しだけフェンスをよじ登ってしまおう。
    小さな網目に爪先をひっかけて、上半身を乗り出す。

    「んー…これズームってどうすんだ?」

    パシャパシャ、と数枚シャッターを切った。
    とりあえず下りようか、と思った時、不意に背後に気配を感じた。

    「――え、」
    「何してるの?」

    笑いを含んだ声。
    振り返って、俺は一瞬呼吸を忘れた。

    こちらを見つめていたのは、女子生徒。
    肩より少し下で切り揃えられた髪が、冷えた音を立てた。

    「え、と…」
    「危ないよ、そんなとこに上ってると」

    重みのない声。
    素直に従って地面に足を下ろすと、彼女はにっこりと笑った。

    その瞬間に、今度こそ呼吸を奪われる。

    真冬の冴えた空、冷たいコンクリートの舞台。
    時間を忘れた君と、俺。

    (錆びた歯車が廻る、まわる)




    階段の神様その2。
    今回はちょっと短めです。
    十一月の終わりってどのくらい寒いのかよく覚えてません。
    すごく寒かった気がするんですが、わたしが寒がりだっただけじゃね?と思ってみたり。

    そしてフェンスよじ登りはマネしちゃだめだぞ!

    階段の神様  01

    ※階段の神様。



    「あれ、」
    「あら、」

    学校から帰ってくると、珍しい人物に出迎えられた。
    珍しい、と言っても一年前まではそこに居るのが当たり前だったのだけど。
    最近じゃ滅多に顔を合わせることのない、二つ上の姉だ。

    姉――氷雨姉さんは、定位置のソファの肘掛に足を掛けて、ひらひらと手をふる。

    「おかえり絆。早かったのね」
    「まぁ…それなりに…」

    姉は今年の春から軍に入って、そこの寮で生活している。
    夏休みに帰ってきてからだから、もう半年ぶりだ。
    まとまった休みというわけでもなさそうだし、何かあったのだろうか、と少しだけ心配になる。

    姉は唐突に振り向くと、いきなり俺の頭をぐしゃぐしゃとかき交ぜた。

    「え、何、ちょっと?」
    「髪伸びたねー…そろそろ切りなさいよ」

    切りに行くのが面倒くさくて、そのままずるずる伸ばしっぱなしだった髪の毛。
    髪が柔らかい上に襟足とか関係なしに伸びてしまった。
    顎のあたりでざくざくながらも揃っていて、女の子みたいになっている。

    「めんどくさくて…」
    「後ろから見ると女の子みたいよ?」

    自覚済みなので大人しく返事をした。
    それから、ようやく聞きたかったことを口にする。

    「…ところでさ。どうしたの、姉さん」

    きょとん、と不思議そうな顔で姉は俺を見たが、すぐに理解したように笑う。
    そうして、もう一度俺の頭を撫でた。

    「コート、取りにきたの。さすがに寒くて」
    「あー…なるほど」
    「で、明日休みだし、ついでだから泊まってこうかなーと思ってね」

    軍服はもう脱いだらしい。
    泊まっていくなら、カーディガンにジーンズというラフな格好も納得だ。
    嫌になって飛び出して来たのかと思っていたから、それを聞いて安心した。

    平和主義で事なかれ主義。
    軍人なんて肩書が、これほど似合わない人間が他に居るのだろうか。
    こんなこと言ったら問答無用で小突かれるに決まってるけど、童顔の姉には面白いくらい軍服が似合わない。

    「あと、これ絆にあげようと思って」
    「なに?」

    コートを脱いでラックに掛けていた俺に、姉はいきなり何かを放り投げた。

    「うわ!?」

    慌ててキャッチしたそれは、小さな赤いデジタルカメラ。
    …落としたらどうすんのマジで。

    「あっぶねー…」
    「ナイスキャッチ。絆ならできるってお姉ちゃん信じてた!」
    「そんな信用いらねぇよ…!」

    だけど、なんでまた。
    疑問を込めて姉を見つめると、彼女はそっと目を逸らす。
    何か言い淀んだ時の癖だ。
    言いにくそうに、失敗を認めるかのような口調で姉はいう。

    「…写真を撮る才能がないって気づいたのよ」
    「えーと…」

    ぴぴ、と電源を入れて、数枚残っていた写真に目を通す。
    暮れなずむ空、庭に咲いた紫陽花、可愛らしいケーキ。
    …言っちゃ悪いが、確かに姉に才能はないらしい。
    どれも微妙に対象を捕らえ切れていないというか…なんだか、妙にちぐはぐな感じがする。

    「敗北宣言?」
    「うるさい。いらないの?」

    からかうとすごい目で睨まれた。
    …外じゃ「御淑やかで優しいお姉さん」で通ってるのに、なんだこの落差。
    たまには弟にも優しくしてください、と首をすくめる。

    「ありがたく頂戴いたします、お姉さま」
    「よろしい」

    少し考えて、せっかくだからと姉にカメラを向ける。
    家で生活していたころと何も変わらない格好に、時間が戻ったみたいだと笑う。
    気にしてないふりして結構淋しがっている母親に、見せたらきっと喜ぶだろう。

    「ちょっと、やめてよっ」
    「良いじゃん、記念すべき第一枚目ー」

    写真の中、子供っぽい顔で姉は笑った。

    (姉と弟とデジタルカメラ)




    勢いのあるうちに一話目を書いてみた。
    口の悪い氷雨が書けて楽しかった…兄弟だとこんなもんだよね。
    春日姉弟は、仲はそれなりに良いです。

    お互い相手が心配で仕方無い。
    たぶん二人とも我儘とか、自己主張みたいなものをあんまりしないんです。
    あれが欲しいこれがしたい、どうして欲しいみたいなこと。
    だからもどかしくて心配なのかな。

    ちなみに写真を撮る才能に恵まれなかったのはわたしです★

    階段の神様 プロローグ

    ※告知というか、予告というか。



    「あ、」

    転がり落ちた上履き。
    買ったばかりみたいに真新しいそれを拾い上げる。
    差し出すと、にこりと笑い顔。

    「どうぞ」
    「ありがとう」

    シンデレラみたいだ。
    落としたのはガラスの靴じゃないけれど。

    白く淡く、ぼんやりと明るい踊り場。
    埃っぽい空気に、視界がかすむ。
    いまいち様にならない、薄っぺらな足音。

    「何してるの?」
    「神様と踊っているのよ」

    ひらり、揺れるスカート。
    重たげな冬服、紺色のセーラー服が不思議なほど似合う。

    まるで、彼女の時間は止まっているかのよう。

    「君の名前は?」
    「春日 絆」
    「…綺麗な名前ね」

    眩しそうに彼女はそう言った。
    切り取られた小さな空間に、クロノスは呼吸を止める。
    動かない時計の針、シンデレラは笑うだけ。

    「君は?」
    「菅原 雪姫。せつ、って呼んで?」

    真っ白い雪。
    真っ白い記憶。
    確かにそこにあったのに、もうおぼろげにしか思い出せない。
    それでも手繰る記憶の糸、その向こう側は空っぽの海。

    砕けたレンズの硝子片だけが、沈む、沈む。

    「さよならシンデレラ」

    凍てつく冬の日。
    神様は、酷く気まぐれなものだと知った。


    『階段の神様。』



    そんな感じで予告をしてみる。
    むかーし書いてた『真夏のシンデレラ』というお話の、リメイクというかリサイクルというか…だいぶ中身は変わってしまうけれども。
    だってもう季節からして真逆だもんね…!!


    お気づきかもしれませんが主人公の絆くんはカノジョ、氷雨の弟です。
    見た目はあんまり姉には似てないです。
    きずな、と読みます、そのままです。
    姉にはいまいち頭が上がりません。

    女の子は菅原 雪姫さん。
    読み方はせつき。
    「セツコ(@火垂るの墓)」とからかわれるのが目下の悩み(どうでも良い補足)。


    そんな訳で、のんびり付き合っていただけると嬉しいです。

    とりっく おあ とりーと。

    もうすぐハロウィン、ってことでテンプレ変えてみました。
    ていってもまだ一か月先だけどね!
    良いの、心は全力でハロウィンだから(何それ)

    でも若干目に痛い。
    愛で乗り切るけど…!!
    だから皆さんあんまり長時間見ちゃだめですようちのサイト(笑)

    ケータイのはマカロンになってますが、まぁお菓子だし良いかなってことで…(こじつけ)
    分かってます、無理やりです。


    まぁハロウィン過ぎなくても、飽きたら変えようかな、と思ってます。
    あんまり派手だとすぐ飽きちゃうからね。
    その点前のはどっちもシンプルでよかった。

    可愛いのいくつかダウンロードしてきたので、しばらく遊んでみようかな。

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    HN:
    祈月 凜。
    年齢:
    34
    性別:
    女性
    誕生日:
    1990/10/10
    職業:
    学生。
    趣味:
    物書き。
    自己紹介:
    動物に例えたらアルマジロ。
    答えは自分の中にしかないと思い込んでる夢見がちリアリストです。
    前向きにネガティブで基本的に自虐趣味。

    HPは常に赤ラインかもしれない今日この頃。
    最近はいまいちAPにも自信がありません。
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