「あ、ねぇ」
「なに?オリジナル」
「今桜ってどのくらい咲いてるの?」
「あたしに聞くの?オリジナルが引きこもってると必然的にあたしにも分からないんだけど」
「まぁまぁ」
「何がまぁまぁなんだお前。…んー、三分の一くらい?もうちょっとかな」
「あー、そんなもんかぁ」
「なんで?花見にはちょっと早くない?」
「やー、これくらいがなんか一番いい気がするんだよねぇ」
「満開の方が良いと思うんだけど…」
「だって咲いてしまったらあとは散るだけでしょ?」
「あぁ、まぁ」
「だったらいつ満開かしら、って心待ちにしている方がなんか幸せ」
「うーん…自然の摂理だからなぁ、花が咲いては散っていくのって。それに散り際がうつくしいのは桜だからこそな訳で」
「分かってるんだけどねー。でも、散るのを見るのは悲しいから。…滅んでいくものこそうつくしいとは思うんだけど、でもやっぱり悲しいし淋しい」
「…なんかそんな和歌があったよね」
「あぁ、なんだっけ…。世の中に絶えて桜のなかりせば?」
「春の心はのどけからまし、だっけ?音で覚えてるから違うかも」
「あ、あたしも自信はない」
「なんだっけ、桜の美しさを逆説的に語ってるとかなんとか」
「そうそう。なんか愛おしいよね、この歌を詠んだ人の気持ちを考えてみると」
「愛おしいね。理解が出来るし、今も昔も桜に対する愛情って変わらないんだなーって」
「…昔の人も、桜が散るのは悲しかったのかな」
「たぶんね。だからオリジナルが悲しい、淋しいって思うのって間違ったことじゃないと思うよ」
「…そっか」
「うん。それに桜はきっとまた次の年にだって咲くよ」
「…うん、」
「連綿と繋がっていくんだって考えたら、ちょっと楽しくない?」
「ふふ、そうだね。楽しいかも」
「でしょう?桜が散るのは、また来年咲くためなんだから。一年中桜が咲いてたらあんなに儚くも厳かでもないよ」
「それもそうだねぇ」
「そうだよ。だから、見てきたら?せっかく今日は天気だっていいんだから」
桜企画第三段、こころとオリジナル。
出てきた和歌が正しいかはあんまり自信がありません(笑)
散り際にあそこまで切なさを誘うのは桜だけな気がします。
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