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書きたいものを、書きたいときに、書きたいだけ。お立ち寄りの際は御足下にご注意くださいませ。 はじめましての方は『はじめに』をご一読ください。
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    葬送の音を。

    相互リンク記念に椎さんトコの三兄弟を書かせていただきました!
    彼らのビジュアルは椎さんのサイトに行ってチェックするべきです(笑)
    捏造万歳、なんかいろいろ趣味はいりまくりですが、どうぞ!



    例えば命を燃やすようなスリル、とか。
    或いは背骨がぞくぞくするような快感は、そう滅多に味わえるものじゃない。

    だから、そう俺たちは。
    まるで削るように焦がすように、存在を刹那だけに宿して。
    世界でたった三人きりの、兄弟。
    それは最強の味方で、最強の好敵手にだってなるから。

    今日も響くは彼らの奏でる『音』。



    ギン、と耳につく音とともに、一閃。
    彼が刀を抜いた瞬間、腰まである長い髪が合わせて舞った。

    「っぶねー…」
    「…遅いな」

    そう言って長男は刀をしまう。
    三兄弟のまとめ役である長男は、咄嗟にそれを受け止めた弟に小さく微笑みかける。
    貴公子めいた美貌、けれどそれに騙されてやるほど彼の弟は疎くない。
    それを見て、ふる、と次男の肩が震えた。

    「遅いな、じゃねーだろっ!?なんだよいきなりっ」

    肩ほどまでの髪を払いのけ、いきり立つ。
    それを見て可笑しげに兄は笑い、ぐしゃぐしゃと弟の髪をかき交ぜた。
    怒ったように彼はそれをも払おうとするが、すぐに思いとどまって手を下ろす。
    笑顔一つで騙されてやるほど疎くはないが、どうしたってこの手には弱いのだ。
    それも自覚済みだから、彼は膨れるしかなく。
    その横顔は、幼い時から変わっていないと兄は想う。

    たとえこんな世界に居ても、それだけは。
    彼らが兄弟であることだけは変わらないのだと。
    それは誇りで、自信で、愛情だと自負している。

    背後で軽い足音が響いた。

    「兄さんにーさん、なーに楽しそうなことしてんんだよっ」
    「おわっ」
    「あぁ、お帰り」

    駆け寄ってきたのは、二人の弟。
    こちらは髪も短く、少しばかり幼げな印象を与える。
    眼鏡の奥、好奇心旺盛そうに瞬いた瞳。
    それに向かって、長兄は肩を軽くすくめた。

    「いや、コイツがぼんやりしてるからちょっと気を引き締めてやろうかと…」
    「気を引き締めるとかじゃなくて、一歩間違ってたら死んでるから!」

    気つけにしてはかなり重い一撃。
    自分か弟でなかったら確実に死んでいた――もちろん、兄が自分たち以外にこんなことをするはずはないのだけれど。

    「…(あぁ、違うか)」

    そこで、ふと彼は笑う。
    自分たち以外にも、兄が刀を向ける相手が居たことに思い至る。
    だって、自分たちの生業は――。

    「にーさん?」
    「ん?あぁ悪い、なんだ?」

    弟の声に微笑んで、すぐに弟が手にしている見なれたノートパソコンに目が行った。
    それを察したらしい、弟がにっこりと笑う。

    先ほどまでの無邪気さを潜めた、狡猾そうな瞳。
    もしかしたら、いちばん凶悪なのはこいつかもしれないと兄らは考える。

    二人の、弟。
    一見しただけでは人好きのする青年にしか見えないというのに。
    丁寧に丁寧に張り巡らせた罠に、相手がいつ落ちるかを狙う。
    そんな強かさを少年めいた顔の下に隠しているのだから末恐ろしい。

    今だって、ほら。
    にこやかにノートパソコンをこちらに向けて、お伺いを立てるように首をかしげている。
    くるりくるりと自身の刀をもてあそびながら、長兄が画面を覗き込んだ。

    「…今回は?」
    「八人」
    「武器は?」
    「とりあえず銃は人数分あるみたいだよ。あと、この背の高い方の人は空手の有段者」

    画面に映るのは、相手の詳細なデータ。
    読み解くうちに、兄らの目が細くなる。

    「…難易度は?」
    「Bかな?ま、人数少ないからね」
    「ふーん…で、今回の仕事は?」

    問うと、末弟はそれは綺麗に笑って。
    そうして高らかに声をあげる。

    「――八人の殺害、及び証拠の隠滅」

    …望んだものは、何もかも。
    消し去ってくれる掃除屋が存在するという。

    「彼らがこの世に居た証明を、消去せよ…だってさ」

    情報、人、物。
    それが何であるかは問わない。

    「「了解」」

    素性は一切不明の、恐ろしいくらいに正確無比な殺し屋たち。
    残酷で冷酷でうつくしい、殺し屋。
    それが――彼らだ。

    「正面はだめ、封鎖されてる」

    手早くノートパソコンを操り、三男が指示を出す。
    膨大な知識の詰まった彼の頭脳は、的確な侵入経路や所要時間などを割り出していく。
    もちろん、セキュリティの解除も抜かりない。

    「兄さんは東側のドアから」
    「分かった」
    「にーさんは屋上ね」
    「ん、りょーかい」
    「俺は西から侵入しようかな」

    目処がたったらしく、三男がパソコンを閉じる。
    それを合図に、兄らが立ち上がった。
    どこか楽しそうに口の端を上げて、鼻歌でも歌うように。

    その様子はあまりに不釣り合いすぎて、とても殺し屋には見えない。

    「終わったら連絡しろ」
    「はーい」
    「分かってる」
    「…それじゃ、」

    中央で合わせたのはそれぞれの武器。
    拳の代りに自分の生命線をかざして、互いの幸運を祈る。
    何よりもそれは雄弁で、三人は一瞬、触れ合わせた武器を下ろすことを躊躇う。

    「…無事で」
    「もちろん」
    「危なくなったら呼べよ」
    「そっちこそ」

    武器を下ろして、笑い合って。
    そして――強く、地面を蹴った。

    (燃やせ焦がせ、打ち鳴らせ)

    (命を想いを、鐘の音すらも)




    あわわわわなんか色々間違ってる気が…!!
    でも書いてるのすごい楽しかったです、ありがとう。

    椎さんのみお持ちかえり可です。
    返品はいつでも受け付けてますんで…!!
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    祈月 凜。
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    性別:
    女性
    誕生日:
    1990/10/10
    職業:
    学生。
    趣味:
    物書き。
    自己紹介:
    動物に例えたらアルマジロ。
    答えは自分の中にしかないと思い込んでる夢見がちリアリストです。
    前向きにネガティブで基本的に自虐趣味。

    HPは常に赤ラインかもしれない今日この頃。
    最近はいまいちAPにも自信がありません。
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