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書きたいものを、書きたいときに、書きたいだけ。お立ち寄りの際は御足下にご注意くださいませ。 はじめましての方は『はじめに』をご一読ください。
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    人魚の森。

    最近はじわじわと寒くなってきましたね。
    みなさん体調は崩されてないですか。


    今日は彼と彼女です。
    閉じ籠りたい願望がありありと出てます。
    学校行きたくないよ!←

    わたしはつくづくこういう閉鎖的な関係が好きなんだなぁと思います。
    たぶん中身がとても子供なんだろうな。

    頭の中がからっぽで、何も言葉がでてきません。



    彼女はとても、話が上手だ。
    思わず引き込まれるような語り口に、相手に合わせた豊富な話題。
    楽しそうに笑ったり、眉をひそめたり。
    くるくると表情を変えながら、彼女は言葉をつないでいく。

    そして彼女は、聞くのも上手だ。
    的確なところで相槌や質問を挟み、相手から次々言葉を引き出す。
    興味深そうな視線を向け、納得したように頷いて。
    それに誘われるようにして、ついつい話が進んでしまう。

    だから彼女の周りには、いつでも言葉があふれていて。
    テンポの良い音楽のような軽やかさ。
    みんな彼女がそういったことが好きで得意で、だから上手なのだろうと思っているに違いない。

    けれど――。

    ソファにうずもれるようにしてココアをすする彼女の横顔を、見るともなしに盗み見た。
    凍りついたような無表情で、カップに目を落としている。
    知らない人が見たら、人形だと思うかもしれないくらい。

    「熱くない?」

    問うと、こくりと頷いた。
    僕と二人でいるときは、彼女は極端に口数が少なくなる。
    最初のうちこそ驚いたものの、いまではすっかり慣れっこだ。
    よかった、と僕も返して、同じようにコーヒーをすすった。

    遠くのほうで、子供がはしゃぐ高い声が聞こえる。
    静かな部屋に投げいれられて、曖昧に広がっては消えて。

    「ねぇ、」

    ねぇ、ほんとうは。
    話すのだって聞くのだって、ほんとは得意でもなんでもないんだよね。
    ほんとうはむしろ苦手で、人前に立つのだってやりたくなくて。

    だけど君はとても、とても聡明な女の子だから。
    できてしまうんだ、なんでもないように色んなことが。
    だから期待されるし、求められるし、そうなったら君は応えてしまう。

    たくさんの期待に。
    たくさんの要求に。
    君はにっこり笑ってそれらを難なくこなして、その裏側で緊張に震える息を吐く。

    「――なぁに」

    話しださない僕を不思議そうに見て、君はようやく口を開いた。
    翡翠を隠した瞳に微笑んで、ちいさく首を振る。

    「そう、」
    「うん。なんでもないよ」

    話さなくても良いんだ。
    せめて僕の前でくらい。
    黙りこくって目を伏せて、なにかを紡ごうとしなくていい。

    君がなにもしないこと。
    それが僕の誇りなんだって、そう言ったら笑うのかな。
    それとも困った顔を向けるのかな。

    どっちでもきっと幸せだ。
    想像に思いがけず予感する。
    その横でふと、君が笑った。
    ココアのカップと僕を交互に見て、ほどけるような声で言う。

    「美味しい」
    「それは良かった」

    世界はめまぐるしくその色を変えていく。
    一秒だって立ち止まらないその場所で、ここだけがまるで取り残されたみたいに沈黙に満ちている。

    なんだっていいんだ、君が安心して眠れるなら。
    たいしたことのできない両腕だけど、抱きしめるくらいならできるから。

    「ねぇ?」
    「なに?」

    君が笑う。

    「――ありがとう」

    その言葉だけが、僕の永遠の道しるべ。

    (ぜんぶゆるして、ゆるされて)
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    HN:
    祈月 凜。
    年齢:
    34
    性別:
    女性
    誕生日:
    1990/10/10
    職業:
    学生。
    趣味:
    物書き。
    自己紹介:
    動物に例えたらアルマジロ。
    答えは自分の中にしかないと思い込んでる夢見がちリアリストです。
    前向きにネガティブで基本的に自虐趣味。

    HPは常に赤ラインかもしれない今日この頃。
    最近はいまいちAPにも自信がありません。
    MPだけで生き延びることは可能ですか?

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