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書きたいものを、書きたいときに、書きたいだけ。お立ち寄りの際は御足下にご注意くださいませ。 はじめましての方は『はじめに』をご一読ください。
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    モノクロドラマチック。

    ※仮想世界より、ぱんだ耳のお話。
    「?」ってなった方は椎さんのサイトでぜひチェックです。



    「あれだよねぇ」
    「「?」」
    「蓮と藍くんって、名前重ねるとパンダっぽい」

    不意に風姫がもらした言葉。
    恋人の戯れのような言い口に、蓮は苦笑をこぼす。

    「何言ってるの君は…」
    「えーでもほら、れんれんと、らんらん。パンダっぽくない?」
    「ランラン、はいた気がするけど…レンレンはどうかな」
    「でもなんか続けて言うとそれっぽいよ」

    なおも彼女は力説するが、蓮はさほど真面目に取り合わない。
    だいたいレンレン、なんて己の名前をふざけて呼ばれているようで可笑しな気分だとさえ思う。
    そもそも、彼はそこまでパンダが好きというわけでもない。
    なんとか説明をつけようとしている恋人を愛おしげに見て、蓮はからかうように笑う。
    それに気付いた風姫が、唇を尖らせた。

    「カンカンがいるくらいだから、レンレンいたって問題ないって」
    「なんの問題なの風姫?」
    「えー…うーん…」
    「発言はよく考えてからしようね。ねぇ、藍?」

    振り向いて蓮は首をかしげた。
    自分と同じように笑っているものと思っていた藍は、なぜか愕然としたような表情で斜め下あたりを見ていて。
    ふるふるとその肩を震わせているのだ。
    まるで、何かに気付いたような様子だ、とぼんやり思う。

    「…藍?」

    訝しげに蓮が顔を覗きこみ、彼の目の前でひらひらと手を振った。
    すると突然、藍がその手をがしっと掴む。

    「え?」
    「確かに…!」

    なにがだ。
    何が言いたいんだこいつは。
    眼差しだけでそう訴えるが、伝わっているのかいないのか。
    藍はそれはもう楽しそうにうなずく。

    「うん、そうだね姫君の言う通りだ!」
    「へ?あたし?」
    「あーもう、そうだよなんで気付かなかったんだろー。勿体ないことしたー」
    「は?ちょ、ねぇ僕話が読めないんだけど」

    いきなりキラキラした顔で「確かに」と何かを納得されても。
    蓮には当然意味が分からず、何度か瞬きを繰り返す。
    すると藍はその笑顔そのままで、いきなりぐっと蓮の手を引っ張った。

    「わっ」
    「よし、じゃあ行こうか蓮君!」
    「どこに!?」
    「パンダ同盟、結成ー!」
    「ねぇなんの話!?」

    急遽結成された、パンダ同盟。
    ろくな説明もないまま、藍は蓮の手を取ったまま元気よく部屋を飛び出す。
    残された風姫に、声だけが届く。

    「どうにかしてパンダコスしてくるから!」
    「僕はしないよ!?」
    「良いじゃーん、パンダ同盟なんだから」
    「さっき適当に決めただけだろ君!」

    騒がしい声が、次第に遠ざかって。
    バタン、と大きな音がしたからきっと玄関を飛び出したのだろう。
    窓の外、珍しく蓮が声を荒げているのが聞こえる。
    やがてそれも遠くなって、あっという間に静けさが戻ってくるのが分かった。

    「…夕飯までに帰ってくるの…よ?」
    「…なぁ、今のなんだ…?」
    「あ、青くん」

    騒がしさとは対照的に、隣の部屋から、青が少々怯えたような顔をのぞかせた。
    それに微笑んで、風姫は首をかしげた。

    「んー…パンダ同盟?」
    「は?」
    「まぁ、きっと帰ってきたら面白いものがみられるんじゃないかな」

    もしも蓮が聞いていたら、壮絶な笑顔とともに皮肉をたっぷりプレゼントするであろう言葉。
    それでも彼女は楽しそうに笑って、二人が出て行った方向に行ってらっしゃいと言葉を投げた。


    (どうなるパンダ同盟)



    椎さんが描いてくれたパンダ耳のやつらにあまりに萌えたので書いてみた。
    そんなわけで、椎さんのとこでは本気で嫌がる蓮が見れるよ!(宣伝)

    れんれん、らんらんってパンダっぽいよね、って話です。
    でもまぁぶっちゃけわたしも「りん」なので、人のことは言えないっていう(笑)
    どっちかって言うとわたしの方がパンダっぽいよ…いや、わたしはパンダ好きなのでオッケーですが(なんの話)

    いつの間にかペースに持ってかれて慌てふためく蓮が書けたので満足。
    そしてどこまででもマイペースしてやるぜ!な藍が書けたのでこれも満足。
    でもきっと美味しいポジションなのは風姫ですね(笑)

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    夢見の守人。

    ※こころシリーズ。


    「ち…」

    「ち?」

    「塵も積もれば山となる…!!」

    「…オリジナル?どしたのいきなり、ついに壊れた?」

    「ついにって何だついにって」

    「や、もともとそういう要素はあったよねオリジナル」

    「お黙りなさい。…や、なんか疲れてしまって…」

    「うん?珍し、オリジナル今日は素直だね」

    「あたしはいつでも素直です。…っていうのは冗談で」

    「冗談なの?」

    「なんとなく、が積み重なるとけっこうくるよね」

    「お疲れ気味?」

    「まぁ、慣れない生活してるからね。あたしなんて周りに比べたらまだまだだと思うけど」

    「周りと比べること自体おかしいんじゃないの?オリジナルのキャパはオリジナルにしかないんだし」

    「…そうなんだけどね。あと、他人と話すのがしんどい」

    「あー…ついにスイッチ切れた?猫被りモードの」

    「それもある。なんとなく、いつものオート笑顔がでてこない…気がする」

    「たぶんそれって実際でてきてないんだと思うよ。つぅか、オリジナルが自分の変調に気づいた時にはすでに周りにばれてる事も多い。オリジナル実はすっごい分かりやすいから」

    「…マジすか」

    「マジっすよ」

    「おぉう…そいつは知らなかったんだぜ…!!」

    「良かったじゃん、今分かって」

    「え、これ喜ぶとこなの?」

    「さぁ…でもまぁ、気付けたならまだマシなんじゃないの。自分では普通だと思ってる人間の無理って、見ててそーとー痛々しいから」

    「…何気に酷いこと言うよね」

    「そりゃ、オリジナルのこころですから」

    「それってあたしが酷いってこと?」

    「御想像にお任せします」

    「うまく逃げたね。…まぁ、いいや」

    「あれ、帰るの?」

    「うん。明日は午後からだけど、疲れちゃったし早く眠るよ」

    「そっか。…大丈夫なの?最近、夢見悪そうだけど」

    「あー…あぁ、うん、まぁ。大丈夫でしょ、ホットミルク飲んだし」

    「りょーかい。…あ、そうだ」

    「うん?」

    「しんどいなら、無理に話さなくても良いんじゃない?」

    「…ふふ、一人ぼっちになっちゃうじゃない」

    「それに負けるようなオリジナルだっけ?今日だってつまんないお喋りしながら『誰かあたしに本寄越せ活字寄越せ』って思ってたくせに」

    「………なんの話?」

    「くだらない会話よりも素敵な文章読んでる方が良いんじゃないの、オリジナル的に」

    「言いきるなぁ…。あたし結構繊細なのにー、酷くない?」

    「繊細と孤独に対する耐性は別物です」

    「…言い合いしても君には勝てない気がする」

    「それは良かった。ほら、はやく眠るんでしょ?」

    「ちぇー。…おやすみ」

    「はいはい、おやすみ。…良い夢をね」




    最初の「塵も積もれば~」が書きたかった(笑)
    これと昨日の「僕だけのニケ」とで新生活応援企画と銘打ってみたりとか。
    どんな企画だ!

    相も変わらず同じことしか言えませんが書けませんが。
    疲れちゃったらゆっくり休みましょうね、うん、お互いに。

    僕だけのニケ。

    ※彼と彼女、この時期ならでは。
    新しい生活は大変ですね。



    「…疲れた顔してる」

    心配そうな声に伏せていた目を上げれば、彼女が僕の顔を覗き込むようにして立っていた。
    いつの間にこんなに近くに居たんだろう。
    いくら彼女の気配に慣れていて、傍に在ることに違和感を覚えなくなっていたとしても、これは不覚だった。
    僕が苦笑すると、彼女はひどく気まじめな顔をする。

    「…大丈夫?」
    「大丈夫だよ」

    始まったばかりで、慣れない大学生活。
    僕は学ぶ分野も違うから、彼女とは学校も違って。
    考えてみたら、こんなに離れているのは初めてだなと頭の片隅で思う。

    「…久しぶりだね、」
    「…そう、ね」

    高校時代は、クラス替えもなくて。
    休日だって二人で何をするでもなくただ一緒に居ることも多かった。
    気付けばいつだって傍にいたから、こうして離れていることが今更のように不安になった。

    手をのばして、彼女の髪にふれた。
    真っ直ぐな、長い黒髪。
    夕暮れの空気に浸されて、冷えたそれを何度か指で梳いた。

    君がここに居る。
    それだけで、どうしてこんな気持ちになるんだろう。
    泣きだしたいような気さえして、僕はそっと頭を振る。

    溺れてしまいそうだった。
    どこに、と聞かれたら抽象的な答えを返すよりほかないところに。
    沈んで、二度と浮き上がれなくなってしまうような、場所に。

    「…なんて、ね」

    ばかげた考えを、笑う。

    後悔なんてないんだ、だって僕がこの道を選んだ。
    間違いにするつもりなんてないし、させるつもりはもっとない。
    見据えた先にも、積み上げてきた過去にも。
    誇れるはずで、それは確かで――本当、に?

    「…すこし、疲れたかな」

    無理やり微笑むと、君は僕の髪にふれた。
    まるでお返しのように。
    僕はそっと瞼をおろす。

    強固なはずの足元。
    嗚呼だけど、時折、ほんとうに時折だけど。
    ――不安になるんだ。

    「…無理、しないでね」

    言葉を探して、さがして。
    迷い惑った君が言う。
    曖昧でたくさんの感情に溢れた瞳は、それでも僕を丁寧に映して瞬いた。

    「…うん、」
    「たまには休んでも良いし、甘えたって縋ったって良いんだよ」
    「うん、」
    「燻ってる気持ちなら、みんなあたしが聞くから」

    だからひとりで、抱えないで。
    告げられた言葉に、僕は数度睫毛を揺らす。

    君こそ自分の腕だけで、なんだって抱え込もうとするくせに。
    どこまで君はお人好しなの、僕の可愛い女の子。
    優しくて悲しくてうつくしい、そんな君だから僕は。

    ――嗚呼、そうだ、思いだしたよ。

    こぼれるように俯いた君の頬に、指を滑らせて。
    耳元の髪を一筋掬って、先の方に口づけた。

    「…ねぇ」

    ゆるり、向けられる眼差し。
    この瞳の為に、僕は身勝手な誓いを立てたんだ。
    否、誓いというにはおこがましく、けれどどこまでだって尊く在るように。

    「ありがとう、」

    君が、君だけが。
    僕の隣に、居てくれるなら。
    幾らだって戦えるんだ、僕はそうして強くなれるよ。

    「え…?」

    唐突すぎる言葉に、不思議そうに首を傾げた君を。
    思いきり抱き寄せて、僕は今度こそ笑った。

    (導の女神はこの腕に)




    新生活始まるといろいろ疲れちゃうし大変だしで、余裕とかそういうのを無くしがちですよね、って話(え)
    自分に期待されてるものとか、自分が立たなきゃいけないポジションとか。
    そういうのがなまじっか分かるばっかりに、なんとなく無理しがちな彼のお話でした。

    まぁ、うん。
    あれですよ、頑張ることは大事だし、頑張らなきゃいけない時ってきっとたくさんあるし。
    この時期だと、なおさらだと思うし。
    でも、それと同じくらい頑張らないことも大事なんだと思います。
    つかれちゃったら、なんかぐだぐだっとすれば良いよ、ってことが言いたかった。

    珍しく長めなあとがきでした、まる。

    春色ワルツ。

    ※仮想世界にて。
    次男と蓮。


    視界をかすめる、鮮やかなピンク色。
    耳を飾る、いくつものピアス。
    わざと荒くした口調、眉間に寄せたしわ。

    それらは人の目を引き、けれど彼らの心を遠ざける。
    距離を望んだのは紛れもなく自分で、慣れ合うのも寄り添うのも怖いから突き放したんだ。

    派手なピンク色の髪は、俺が造った壁だった。

    触れられるのは、怖い。
    ぬくもりはいつか冷めるし、形をもったものは壊れる。
    だったら最初から、近づかなければ良い。

    そう、思っていたのだけれど。



    「…」

    先刻から、じっと視線を注がれていることには気付いていた。
    真っ直ぐなそれは、不躾ですらある。
    本当は、もっとそつのない目の向け方だって彼には余裕でできるだろうにと思う。

    「…んだよ」

    耐えきれず顔をあげた。
    すると、蓮はにこりと微笑む。
    青の苦手な、綺麗な笑顔。
    すぐに顔をそむけて、吐き捨てるように言う。

    「用がないなら見るなよ」

    別に、本心からこんなことを言いたいわけじゃない。
    ただ、慣れていないのだ。
    傍に他人が居ること自体に。
    そしてこんな風に、穏やかに笑みを向けられることなんて、今までなかったから。

    あんまりにも不器用で上手くいかなくて、少しだけ苦しくなる。

    「んー…用なら、あるけど」
    「…なんだよ」

    蓮の声に、もう一度、おそるおそる顔をあげた。
    青の視線が自分に向くのを待っていたように蓮は笑うと、その手を真っ直ぐに青に伸ばした。

    「ちょ、蓮!?」

    わし、わしわし。
    撫でるというにはずいぶんと乱暴な手つきで、髪をかき乱された。
    鮮やかなピンク色の髪が、くしゃくしゃにほつれる。

    「おま、何する…っ」
    「…ねぇ、春は好き?」

    そうして投げかけられたのは、唐突な問い。
    思わず蓮の瞳を見つめると、何が可笑しいのかやっぱり笑みで返された。

    青の瞳と。
    ぶつかったのは、蓮の黒い瞳。
    奥でほんの一瞬、血のような赤色が翻ったような気がする。

    「僕は春が好きだよ。青は?春は好き?」
    「…まぁ、それなりに」

    繰り返されて、ちいさく頷いた。
    甘い春は、嫌いではない。
    すると蓮はもう一度、今度はゆるく髪を撫でた。

    「春は良いよね。うつくしいし、優しい。春があるから、夏も冬も秋も綺麗なんだと思うよ」

    凍てつく冬を、終わらせる軽やかな足音。
    引き連れられた命が燃えて、世界は彩られて。
    艶やかに勢いを纏って、すべてが生まれ変わる春。

    「僕は春が好きだよ」

    繰り返して、言い聞かせるように。
    そしてさらに、彼は丁寧に告げるのだ。

    「――君の髪は、春の色だね」

    遠ざけた距離を、容易く飛び越えて。
    掴んだ手は、それこそ春のようで。

    「…っ」

    はじめてだった、そんなことを言われたのは。
    世界にだって赦されたような気がして、思わず青は言葉を失う。

    なんで、どうしてそんな。
    当り前の顔をして、嗚呼。

    「悪いけど、僕はそんなんじゃ君を諦めてあげないよ」

    そう言って離れた体温。
    俯いて唇を噛んで、青は蓮が部屋を出ていくのを耳だけで追う。

    しまった扉、それを確認してようやく呼吸を取り戻した。

    「…ずりぃ」

    呟いた声は、それでも確かに春の彩りに満ちていた。




    蓮の「君の髪は――」を言わせたいがためのネタ(笑)
    ぶきっちょな青が好きです。

    置き忘れた記憶の中にいつまでも閉じ込められた愛のうた

    ※カレとカノジョ。
    眠り姫にはなれない。



    夢を見ていた気がする。

    「…、」
    「おはよ」

    ゆるゆると髪を梳かれて、ようやく現実が足元をかすめるような気がした。
    目を開けると、すぐ近くで彼がわたしの顔を覗きこんでいた。
    それはつい今しがた見ていた夢に似ている気がして、わたしはその境目に一瞬悩む。

    「…寝てました?」
    「うん、」

    いつもそうだけれど、眠りに落ちた感覚はやはりなくて。
    だけど目が覚めたという事はわたしは眠っていたのだろう。
    頭をもたげようとするけれど、髪を撫でる手が優しくてなんとなく起き上がるのが惜しい気もする。
    デートの合間に寝るつもりはなかったんだけどな、とぼんやり思った。

    「どれくらい、寝てましたか」

    寝起きの常で掠れた声。
    それでも正しく聞き取って、彼は15分くらいだと答えた。
    頭はまだ霞がかったようで、わたしはどこかふわふわした感覚のまま頷きを返す。

    「珍しいね。君が眠っちゃうなんて」
    「…誰のせいですか」
    「さぁね?君のせいかな」
    「どうしてそうなるんですか…」

    ひとつ、あくびがこぼれた。
    眠っていたはずなのに、まだ頭がはっきりしてこない。

    「でも、ちょっと得した気分」
    「とく、ですか?」

    ゆっくりと繰り返し髪を梳いていく手に、眠気が誘われる。
    一度ちいさく頭を振ると、上の方で笑い声がもれた。
    ちゅ、と頭のてっぺんに唇が触れる。

    「珍しく寝顔が見られたしね」
    「…そんなに珍しいものでも、ないでしょう」

    見ようと思えば、さほど苦労せずとも見られるものだろうに。
    見られてあまり気分のいいものじゃないけれど、彼なら構わないとは思っている。
    …わたしがそう思うこと自体、かなり稀だってことに気付いているのかは分からないのだけど。

    「昼間だと、やっぱり違うんだって」
    「そう、ですか?」
    「そうだよ」

    あくびをもうひとつ。
    なかなか目が覚めきらないのは、彼が頭を撫でるからだと結論付ける。
    せっかくの休日で、デートなんだからそろそろ起きなきゃいけないと思う反面、まだこうしていたいような気もして少し困った。

    どうしようかな、居心地が良いからまだ起きたくない。
    でも、そろそろ起きた方が良いかもしれないな。
    まだ午後になったばかりだろうし、今からなら何処かにお出かけだってできるかも。

    ふと、見ていたはずの夢の欠片が翻った。

    「…ゆめを、見ていました」
    「そう。どんな?」
    「先輩が、いましたよ」

    夢の中でも、変わらず。
    傍にいたような気がする。
    幸せだった気がするの、わたしの傍に貴方が居て。

    微笑んでいたのだろう、口の端に彼の指先が触れた。

    「…そっか、それは嬉しいな」
    「ふふ、」

    本格的に抱き寄せられて、わたしの身体は半分彼の身体の上に乗るようなかたちになる。
    ソファに二人して沈んで、そのくせ浮かんでいるような気がした。
    ゆらゆらと、眠気が押し寄せる。

    「じゃあ、もうちょっと夢を見てて」

    耳元で、誘惑するように声が揺れる。
    抵抗できない、と言い訳のように思った。

    「…せっかくの休みなのに」
    「良いじゃない、たまには」

    でも、そうね。
    夢の続きを見られるなら、悪くはない。

    つぎに夢から覚めた時、また境目が淡くなるくらいの距離でいられたらいい。

    「…おやすみなさい」
    「ん、おやすみ」

    夢の中で、もう一度。



    お題消化作。
    お風呂入ったらさくさく寝ようと思ってたのに、ネタが浮かんじゃったら書くしかないよねっていう。
    早く寝ようと思ってる時に限ってネタが浮かぶ罠…誰か操ってる気がしてなりません。

    眠りを書くのが好きです。
    何回か言ってる気もしますが。
    無防備だからかな、距離が近いからかな。
    眠たいけどなんとなく甘くって幸せ、みたいな雰囲気が大好きでたまらない。

    …そしてわたしも眠ることにします(笑)

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    HN:
    祈月 凜。
    年齢:
    34
    性別:
    女性
    誕生日:
    1990/10/10
    職業:
    学生。
    趣味:
    物書き。
    自己紹介:
    動物に例えたらアルマジロ。
    答えは自分の中にしかないと思い込んでる夢見がちリアリストです。
    前向きにネガティブで基本的に自虐趣味。

    HPは常に赤ラインかもしれない今日この頃。
    最近はいまいちAPにも自信がありません。
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