「ら らら ららら ら」
うたう。
こぼれる。
透明とは言い難い、だけどやわらかな声。
「らら ら ららら らら」
吹かれて、消えて。
舞い上がる うたごえ。
とどく先なんてない。
聴いている人もいない、たった一人のアリア。
「るらら らら らら らら」
だけどそう、もしも聴こえるなら。
あなたにだけ届いてほしいと思うのは、間違いか。
「るらら るらら ららら…」
おわらないそのうたは。
あなたにとどけ アイ ラブ ユー。
(こいのうた)
+++
部屋中に散乱した、紙飛行機。
真っ白なそれは床にうず高く積って、季節を違えた雪にも見える。
そのただ中、ひとりぼっち。
背中を向けているのは だぁれ。
「…」
ひとつ。
手がひらりと踊って、あたらしく紙飛行機を投げる。
「…」
ふたつ。
手元の便箋をちぎっては、紙飛行機を作って、飛ばす。
「…」
みっつ。
飛んだ紙飛行機は頼りなく舞って床に落ちた。
「…」
よっつ。
飽きることなく増えていく紙飛行機は、いつの間にか部屋中を埋め尽くして。
在る時誰かがそれは何かと尋ねたことがあった。
彼女は笑って恋文だと答えた。
「あなたが すき です」
ひらり。
彼女の手は何度でも紙飛行機を投げる。
(こいぶみ)
+++
こぽこぽ、あたたかな湯気が立ち上る。
漂うのはあわい紅茶の香り。
真白いカップにたかく注がれていく。
「―――♪」
調子っぱずれなはなうた。
メロディも何もあったものじゃない。
だけど微笑んだ彼が奏でるのは、ひどくひどく楽しそうな。
「――♪」
きみがすき、きみがすき、きみがすき。
溢れる想いを紅茶に込めて、いとしい君へと捧げましょう。
(こうちゃ)
愛しいあの子に愛してるって伝えてみよう企画。
でもよく分からない仕上がり。
やっぱりリサイクル品です。
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