「…頭おかしいんじゃないの」
「え、いやだって思わない?ケータイ手に持って橋の上歩いてると『あー、やばいこっからケータイぶん投げてみたい』とか」
「思わない。絶対思わない。っていうかケータイ投げたら困るの自分じゃん」
「あ、うんそうなんだけどね。だから『いやいやいや落ち着け投げちゃいかん投げちゃ』って思うんだけどさ、でも気を抜いたらぽーいっと投げ捨てそうで、そのドキドキ感?ってあるよねーって」
「ねぇよ。何それあんた二重人格?投げたいけど投げないで我慢してるのが表で、それを聞きつつ投げそうになってるのが裏?何で自分の中に別人格飼ってるのよ」
「違うよ。飼ってないよ。でもない?そういうの。やっちゃダメなのにやってみたくて、だめだーって言い聞かせてるのにやりそうな自分がいるの」
「で、それがちょっと楽しいと」
「そこまでは言ってないっつの」
「あー…でもあれだよね。犯罪者になりそうだよねそれ。今はちゃんと押さえてるけど、タガ外れたらやばいって。裏人格暴れたら止められなくない?」
「大丈夫だよ、犯罪者になる気はない」
「そう?じゃあジキルとハイド?」
「だからー、二重人格説から抜け出してよいい加減。別にそんなんじゃないし」
「でも普通そんなこと考えないから。ケータイは投げないよ困るし」
「まだ投げてないってば。ほらちゃんとここにある」
「とりあえずお前は変だ。以上、会議終了」
「え、今の会議だったの?っていうか終了かよおまえ」
「あー、お腹すいた。なんか作って」
「ちょ、横暴だなオイ!?」
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