※カレとカノジョ。
クリスマスのご予定は?
「ねぇ、先輩。よかったらクリスマス一緒に…」
「あぁ、ごめん俺当日は関東に居ないんだ」
「(!?)」
にっこりと笑顔で瞬殺されて、思わず凍りついた。
「関東に居ないって…?」
「その日は関西支部に行ってちょっと打ち合わせやら何やらを」
「そう、ですか…」
軍人にクリスマスは関係ない。
通常業務はガッツリ入っているけれど、せめて夜だけでも恋人らしくふたりで過ごしたい。
そんな淡い期待を抱いて可愛らしく小首をかしげてみたんだけれど、いっそ面白いくらいの瞬殺っぷりに思わず笑ってしまいそうになる。
「ごめんねー」
「いえ、別に。仕方ないことですし」
申し訳なさそうに謝られて、ゆるりと首を振る。
駄々をこねたって仕方ない。
だって仕事なんだもの。
わたしたちの仕事はそう、そうそう簡単に投げやっていいようなものじゃないから。
「風邪引かないでくださいね?」
「わかってるよ」
うなずいたのを確認して、じゃあわたしも仕事に戻ります、と言って背を向けた。
…まぁ、うん。
別にわたしクリスチャンじゃないし、クリスマスだってそんなに好きじゃないし。
どうせ仕事だし、年末だから残業かもしれないし。
だから、別に。
――さみしくなんて。
一瞬ぶれるようにしてかすむ視界。
頭を振って追い払う。
何を考えているんだろう、一緒にクリスマスを過ごしてほしかったなんて。
分かっているでしょう、我儘なんて言っちゃダメ。
颯爽と背筋を伸ばして踵を鳴らして。
そうよわたしはもう大人なの、クリスマスなんかにはしゃぐような年じゃない。
「…よし、こうなったらガッツリ残業して稼いでやる」
黒いタイツを履いた脚先、包むのは黒のパンプス。
こつんこつんと鳴る音で、自分はもう大人なんだと言い聞かす。
時折忘れてしまいそうになるのよ、いつまでも追いつけない背中を見ているせいで。
わたしはいつまで経っても子供のままのようで、それがたまらなくもどかしい。
「(…この日のためにすっごい可愛いベビードール買ったなんて絶対言ってやんねぇ)」
悔し紛れに呟いて、つまさき立ちでしか見られない世界に舌を出した。
(強がり意地張り黒ウサギ)
カレとカノジョ。
続くような続かないような…最近ぜんぜんお話が書けなくて焦りのあまりこんなんができてしまったという。
イベントにこだわりたがる女の子って、なんか可愛い気がします。
こう、大事にしてる感じがするよね、何かを。
実際わたしはハロウィンはものすごい頑張るけど、クリスマスはそんなにときめかないのです。
何故だろう…あ、でもケーキ食べられるのはちょっと嬉しい。
上にのってる砂糖菓子のサンタとかトナカイが気になって仕方ない。
さて、皆さんはどんなクリスマスを過ごされますか?
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