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書きたいものを、書きたいときに、書きたいだけ。お立ち寄りの際は御足下にご注意くださいませ。 はじめましての方は『はじめに』をご一読ください。
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    蜜色キッス。


    ※仮想世界。
    女の子達のお買いもの。


    だんだんと夜が長くなり、空気も冷たさを増していき。
    気の早い店先には、赤と緑のデコレーションが目立つようになった。
    ぽつりぽつりと灯りはじめたイルミネーションに、ふわりと心が浮足立つ。

    その中でもとりわけ鮮やかで、甘い香りを漂わす店先で氷雨が足を止めた。

    「ね、ちょっとだけ寄っても良いですか?」
    「あら、ラッシュ」

    色とりどりの石鹸が並ぶ、小さなお店に桃花が微笑んだ。

    「すごーい、可愛い」
    「えー、あたしも見たいっ」

    楚夜と風姫も目を輝かせて、軽やかに足を踏み入れた。
    ふんわりと、鼻をくすぐるのは独特の甘い香り。
    たちまち女の子スイッチが入って、風姫がはしゃいだ声を上げる。

    「うわー、うわー…!すっごい可愛い…!!」
    「ね、可愛いよね」

    控え目に笑う楚夜に何度も頷き返し。
    可愛らしい石鹸を手に取って眺めた。

    「あ、ハンドクリームもあるのね」

    珍しい固形のハンドクリーム(ジンジャーマン型やハート型、イチゴ型など様々)を手に取って、桃花が呟く。
    お花屋さん、と言えば可愛らしく優雅なイメージが浮かぶけれど、実際は力仕事で水仕事。
    年中無休で冷たい水にさらされる彼女の手は、似合わないあかぎれや、切り傷でいっぱいだ。

    「あぁ、乾燥しますもんね…これからは特に」
    「そうなのよねー。ひとつ買っていこうかしら」

    そう言って桃花が手にしたのは、『とろけてハニー』というはちみつの香りのマッサージバー。
    神様の食べ物と謳われた金色のそれは、なるほど彼女によく似合う。

    冷たくなった指先を魔法のように操って、それでも辛いとも言わない彼女の強さには、何度触れても目をみはる思いがする。
    こっそりと、おまじないでも唱えるように目を閉じて、氷雨は自分も何か見繕おうと棚に目を向けた。

    「んー…どうしようかなぁ」

    オフィスの乾燥や睡眠不足、ストレスにあてられた肌は明らかに疲れ気味。
    本格的な冬を迎える前になんとかケアをしなければ、恐ろしいことになりそうだ。
    フルーツをたっぷり使ったカラフルなフェイスパックや、良い匂いの保湿クリームを見比べる。

    「氷雨さん、これは?『クリスマスのご褒美』だって」
    「ふふ、可愛いピンク色」

    楚夜が持ってきてくれたのは、クリスマス限定発売と書かれたピンク色のフェイスパック。
    濃く香る花の匂いに、思わずうっとりと目を細めた。

    「乾燥にも良いんだって」
    「じゃあ、これにしようかな」

    氷雨の無邪気な笑顔に、楚夜も嬉しそうな顔をした。

    氷雨はサンタクロースなんて信じない現実主義。
    軍人である彼女には、クリスマスだって関係ないけれど。
    たまにはその名前のとおり、たっぷりのご褒美をあげたって罰は当たらないだろうから。

    「楚夜ちゃんは何か買わないの?」

    ひょ、と風姫が横から顔を出した。
    彼女の桜色のくちびるを見ながら、楚夜はリップクリームを買わなくちゃ、と呟く。

    「あ、乾いてる」

    風姫にちょんとつつかれた。
    ついつい横着して、リップクリームを塗り忘れることが多い楚夜のくちびるは、時折皮がむけてしまうくらいにカサカサだ。
    レジのすぐ傍にならんだ、小さなケース入りのリップクリームに近づいた。

    「名前も可愛いね」
    「ね」

    ラッシュの特徴の一つは、石鹸に付けられた可愛い名前。
    読むだけで楽しくなるようなセンスには脱帽だ、そんなことを思いながらテスターで香りを確かめていく。

    「…これにしようかな」

    無香料のリップについ手が伸びたけど。
    キラキラとした雰囲気に酔ったせいか、いつもだったら選ばないものをチョイスした。

    「『おしゃべりアップル?』」
    「…うん、」

    アップルパイみたいな良い匂いにも惹かれたけれど、いちばん彼女の心を捉えたのはその名前。
    お喋りが苦手な自分でも、これをつけたら少しは軽やかにくちびるを動かせるだろうかと考えた。

    「…似合わないかな」

    そんな子供じみたことを考えた自分が照れくさくなって、無香料のものに取り変えようかと手を伸ばす。
    けれど風姫はふるふると首をふって、華やかに笑った。

    「そんな事ないよ、すごく似合う」
    「…そう、かなぁ」
    「だって楚夜ちゃん、白雪姫みたいだもの」

    風姫はにっこりと笑った。
    しろい頬に、くろい髪、あかいくちびる。
    ほら、君は白雪姫みたい。
    林檎の香りを纏ったら、きっと誰より可愛いよ。

    「…あり、がと」
    「うん?どういたしましてー」

    真っ直ぐすぎる風姫の言葉に、楚夜の頬が赤く染まる。
    それこそ林檎のような色。
    ほら、やっぱり可愛いと風姫はにっこりして、いよいよ自分の買い物をしようとスカートを翻した。

    「でも風姫ちゃんお肌も髪も綺麗だし、特にトラブルってなさそうだけど…」

    彼女の真っ白な肌やさらさらのストレートヘアを見て、桃花が小首を傾げた。
    それに対して風姫は苦笑を返す。

    「ううん、隠れてるけど肘とか踵はがさがさなんだよ」
    「あらあら、確かにそれは乙女として由々しき問題ね」
    「だよねぇ。フットローション、どれがいいかなー」
    「ね、これは?」

    桃花が持ってきたのは、『桃色キック』という名前のついたフットローション。
    甘そうな桃色に反して、ペパーミントの香りがするから不思議だ。
    見た目は恐ろしくクールなドール、なのに中身は無邪気に子供っぽい風姫とは、ある意味バランスが取れそうな一品である。

    「ん、これにするっ」

    潔いくらいに即決して、風姫が頷いたところで。
    それぞれ芳香を放つ自分へのギフトを手に、レジに向かう。

    「久しぶりだわ、こんな風に自分へのご褒美を買うなんて」
    「たまには良いですよね、こういうのも」

    くすくす、と。
    男子禁制のひそやかな楽しみに、自然とこぼれるのは笑い声。
    花のように笑って、小鳥のように歌って。
    嗚呼君は、そう誰よりうつくしい。

    「…使うのがたのしみ」
    「なんだかドキドキしちゃうよね」

    包みを開けるのすら勿体ないくらい。
    だけど早く開けてみたくてうずうずする。
    プレゼントを目の前にした、幼い女の子のような気持ちだ。

    「すみません、お会計お願いしてもいいですか?」

    まだまだクリスマスまでには時間があるけれど。
    とっておきの甘い香りを纏って、とびきりの聖夜に向けて支度をしよう。

    サンタクロースはもう来ないけど。
    透明な気持ちを持つ君たちは、それより幸福なプレゼントを知っている。

    (こっちを向いて、マイレディ!)



    …登場人物を絞ったのにちっとも短くならなかった件について←
    もう良いよ…仮想世界はこういう宿命なんだよ…(諦めた)

    今日は帰りに友人とラッシュに寄ってきました。
    手持ちがなくて何も買えなかったけど、幸せだった…!!
    ショップのお姉さんがカタログをくれたので、それを見ながら書いてました。

    いろいろ名前を出しちゃったけど大丈夫だろうか…(今更)
    でもどれにしようか考えるのはすっごい楽しかった!

    ラッシュは名前がいちいち可愛すぎると思うんだ…あと説明文?みたいなのも。
    きゅんきゅんする!
    そんなわけで今回のタイトルはラッシュをイメージしてみました。

    今度ラッシュに行ったときは、今回四人がどれを買ったのか探してみてください(笑)
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    1990/10/10
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    動物に例えたらアルマジロ。
    答えは自分の中にしかないと思い込んでる夢見がちリアリストです。
    前向きにネガティブで基本的に自虐趣味。

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