※仮想世界。
まだまだプールです。
「なんて言うか…えぇ、まぁ予想はしてましたけどね…」
「あー…とりあえず、お疲れお嬢」
ウォータースライダーを滑り終え、心なしかぐったりとした表情で氷雨がプールサイドに上がってくる。
労うように肩にふれたのは蒼だ。
苦笑を浮かべて、背後のスライダーを見やる。
「…大変だったな」
「大変というか…何て言うか、若干予想を超えたと申しますか…」
予想外に長かった。
というか、曲がってた。
途中からなんかもうよく分からなくなるくらいには。
あぁもう軽くリバースしそう…いや、しないけど。
「氷雨ちゃん、はいお茶」
「ありがとうございます桃花さん…あら、高校生組はどちらへ?っていうか、優さんは?」
桃花に渡されたお茶を有難く受け取って、そう言えば人数が大幅に足りないことに首を傾げる。
大幅に、って言うか半分以上いない。
…というか、高校生メンバー+優が見当たらないのだ。
きょとんと不思議そうな彼女の視線を受けて、桃花と蒼が肩をすくめた。
「もう一度滑ってくるんですって」
「…優さんも?」
「というか、優が筆頭で」
「………若いって素晴らしいですね」
出たのはそんな言葉。
とはいえ彼女もまだ19歳、まだまだ若い部類に入るのだろうけれど。
しかも筆頭だったらしい優は最年長なのだけれど。
でも、まぁ…その辺は置いておきたい、ぜひとも。
「とりあえず…私たちはのんびり別の場所で遊びましょうか。流れるプールでゆらゆら、なんて楽しそうじゃない?」
「賛成です。スライダーはもう結構」
「右に同じ」
さすがにテンションを上げたまま遊びまわる元気はない。
集合場所は決めてあるから、特に困ることもないだろう。
「…優さん、明日筋肉痛なんてことにならないと良いんですけど…」
「そうねぇ、この年になると次の日辛いわよねー」
「…まぁ、大丈夫だろ」
必然ともいえるけれども、それでもちょっとだけ奇妙な取り合わせ。
彼らはそれに気付いて、くすりと笑った。
「あおくーんっ見てみて何あれ超すごい!!」
「青くん青くんっ!次あっち行こー♪」
「にーさんにーさーん!おれコレ乗りたい!!」
「だーもううるせぇっ!!お前らは雛鳥かなんかか晃に藍に風姫!?」
「「「青くん(あおくん、にーさん)が親鳥なのは、ちょっと…」」」
「お前ら殴っていいか?」
高校生組、の一部。
とにかくはしゃいで楽しそうにしているのは、当然のことながら晃と風姫と藍。
と、それに巻き込まれている青。
「やー…なんか良いねー、青春って感じ」
「見てねーで止めろよこいつら!」
「えー、嫌だよ面倒だから」
「楚夜さん、次どこ行きたい?」
「うーん…そうだな、こっちの温泉になってるトコとかちょっと気になるかも」
「あ、良いねー。じゃ次そこ行こうか」
かつその騒動を止めないのは優で、最後尾でのんびりと会話を楽しんでいるのが蓮と楚夜だ。
ここだけでテンション三段階。
すでにカオスの予感がひしひしとしている。
すい、と蓮は腕を伸ばして、先頭を歩いていた風姫の髪(ちなみに今日はツインテール)と青の髪(ちょっと長めなので軽く結んでいる)を引っ張った。
当然、つんのめるようにして二人は足を止める。
「はいストップ」
「んにゃっ?」
「っだ!?」
「わ、にーさん急に止まらないでよ!?」
「ひめちゃん!?」
「ちょ、藍さりげなく頭突き…!」
それに引き摺られるように後ろも止まり、蓮は満足げに頷く。
…ちらほら被害が出てるのだが、そこは気にしないらしい。
引っ張られた髪を押さえて、風姫が不満げに振り返る。
「酷いよ蓮ー!何するの?」
「楚夜さんがココ行きたいんだって。よって方向転換」
「あ、なら仕方ないねぇ」
「仕方ないの…!?」
言われた楚夜本人も驚くくらい、あっさり赦す。
楚夜が絡んでいるなら仕方ないらしい、彼女の中では。
にっこりと笑うと、ほら行くよ、と青たちの背中を押す。
「…なんていうか…」
「うん?」
「お前も蓮も、相当なジャイアンだよな…」
晃に聞かれたとき、咄嗟に蓮の悪口が思いつかなかったけれど。
もうこのカップルはこれで良いのかもしれない、と青は遠い目をする。
「なによー、あたしジャイアンじゃないわよー?」
「そうだよ青、失礼だね君は」
さらりと棚上げするところも、まったくもってジャイアンだよ。
心の中でそう呟く。
太陽はまだ、高い。
(ビューティフル サマー デイ!!)
おあー…いつ終わるんだろう、プール編…(汗)
夏祭りネタも書きたいんだけどな…なかなか終わらないという。
そしてキャラが多いと動かしづらい…!!
今回は高校生にナチュラルに交じる優がポイントです(笑)
あとジャイアンが一人増えました。
まぁあれだよね、風姫の恋人だもんねってことで。
相変わらず青が振り回されてるww
でもごめんそんな彼が好きです(お前)
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