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書きたいものを、書きたいときに、書きたいだけ。お立ち寄りの際は御足下にご注意くださいませ。 はじめましての方は『はじめに』をご一読ください。
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    甘い気持ちにリボンをかけて!

    ※仮想世界。
    今が何日かってことは忘れてくださいお願いします←



    とろりとろけるチョコレート。
    甘い香りを振りまいて、君への想いを閉じ込めよう。
    さぁさ召しませ、あいのうた。


    「そ、楚夜さーん…!助けてー!」
    「氷雨さんなんでそんな無茶な角度…!?」

    「うーんと、風姫ちゃん。チョコレートはそこまで細かく砕かなくてもいいと思うわ?」
    「そうなの!?」

    日頃はたいそう殺風景な風姫のマンションは、今日は珍しい華やかさに満ちていた。
    明日のバレンタインのために、みんなで集まってお菓子を作っているのだ。

    「こんな感じで良いかなぁ」
    「うんうん、上出来」

    細かく刻んだチョコレートをボウルに移した。
    それぞれ好みが違うため、ボウルの中身も少しずつ色合いが異なっているのがなんだか楽しい。
    にっこり笑って、風姫が振り返った。

    「蒼さーん、チョコ刻んだ!」

    そう、呼ばれたのは――蒼だ。
    この男子禁制(であるはずの)集まりに、なんの違和感もなく混じっているところが恐ろしい。

    「じゃあ湯せんで溶かすから…やけどはするなよ」
    「はーい」

    てきぱきと指示を与え、おぼつかない手つきの氷雨には丁寧にレクチャーまでしている。
    ナチュラルすぎて怖いよ、と弟である青が見たら間違いなくツッコミを入れるところだろう。

    「溶けたか?」
    「こんなもんで良いの?」
    「十分。そのまま湯せんにかけといて良い」

    どうして蒼がここに参加する羽目になったのか、というちょっとしたエピソードがあったりなかったりするのだけれど、今日の蒼は彼女らの先生として招かれている。
    蒼自身、甘党でそれなりの頻度でお菓子を作ってしまう、という腕前の持ち主。
    そのため、女子だけでは少々不安な今回の計画に、半ば強制的に引っ張り出されたのだ。


    そして肝心の彼女たちの腕前は、というと。

    年頃の女の子らしく、楚夜は問題なさそうだ。
    お菓子作りの基本的な考え方は身に付いているし、細やかな性格も幸いしている。
    彼女らしいと納得するくらいに、作り方は丁寧だ。


    桃花もそれなりに数はこなしているらしい。
    双子みたいな妹と一緒に、こういったイベント事の時には店先でクッキーやチョコレートを配っているのだと言っていただけあって、手際も良い。
    ただ本人も量産型の方が得意だとこぼしていた通り、少量ずつのレシピはまどろっこしい、らしい。


    風姫はさすがに有名校に通う優等生だけあって、包丁の使い方や『家庭科で習う一般的なこと』はほぼ完璧。
    しかし絶対的な経験値が足りないよう。
    料理をする上でのカンがまだまだ身についていないのだろう。


    まぁつまるところ問題は一人だ。
    さっきから氷雨は困ったような顔のままだ。
    本人いわく「なんかもういろいろスキルが足りなさすぎる」というだけあって、彼女の手つきはものすごく危なっかしい。

    「…氷雨ちゃん、大丈夫?」
    「えぇ…」

    そんな彼女には当然蒼がほぼつきっきりで教えたので、まぁなんとか形にはなりそうだ。
    ………おそらくは。

    「桃花、もっと力入れないと泡立たない」
    「うぅ…明日はきっと筋肉痛ね」
    「楚夜も。ちょっと貸してみろ」

    メレンゲを作ったり、生地を混ぜ合わせるのはけっこうな重労働だ。
    ハンドミキサーを持ってきてやればよかったな、と蒼は考える。
    見るからに筋肉の少なそうな、ほっそりとした腕を見やって申し訳なさそうな面持ちをした。


    「…ねぇ氷雨ちゃん。適量って何グラムだろう…?」
    「グラムって言うか…ちょこっとで良いんじゃないでしょうか…」
    「少々、とか適量、とかって困るからやめてほしいよねぇ」

    そんなことを話しながらも、おおよそは完成したらしい。
    あとは型に流し込んで、オーブンに入れるだけだ。
    氷雨が覗き込んで、不安そうな顔をする。

    「上手く焼けますかねぇ…」
    「大丈夫だよ、氷雨さん頑張ってたもの」

    楚夜に微笑まれて、氷雨もようやくほっと笑みをこぼす。
    なんとなく照れくさそうな顔をして笑いあったふたりの間に、チョコレートのうんと甘い香りが割り込んだ。
    振り返ると、桃花がマシュマロの袋を片手ににっこりと笑った。

    「氷雨ちゃん楚夜ちゃん、余ったチョコでチョコフォンデュしようよって、風姫ちゃんが」
    「チョコフォンデュ?」
    「良いですね、おいしそう」

    とびきり甘く、優しいにおい。
    こんなに頑張ったご褒美に、贅沢なおやつタイムも良いだろう。
    ダイエット、と囁く自分に目をつぶる。

    「みんなー、はやくはやくっ!チョコ溶けたよー」
    「はーいっ」

    ――この幸福な気持ちで、魔法をかけよう。

    (聖戦を前に!)



    ガッツリバレンタインなんて過ぎ去ってますが何か問題が?(開き直った)
    …あ、嘘ですすみません、予想外に遅くなりすぎて自分でもびっくりです。

    今回の見どころはナチュラルに混じる長男です。
    それを知った男どもにうらやましいようななんか微妙な感情を抱かれればいいよ!(えー)

    特に明記しなかった気もしますが、彼女らが作ってるのはチョコレートケーキです。
    ガトーショコラ的な?
    凜さんは当然作ったことがないのでよく分かりませんが(笑)

    なにはともあれ、はっぴーバレンタイン!
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    HN:
    祈月 凜。
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    性別:
    女性
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    1990/10/10
    職業:
    学生。
    趣味:
    物書き。
    自己紹介:
    動物に例えたらアルマジロ。
    答えは自分の中にしかないと思い込んでる夢見がちリアリストです。
    前向きにネガティブで基本的に自虐趣味。

    HPは常に赤ラインかもしれない今日この頃。
    最近はいまいちAPにも自信がありません。
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