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書きたいものを、書きたいときに、書きたいだけ。お立ち寄りの際は御足下にご注意くださいませ。 はじめましての方は『はじめに』をご一読ください。
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    階段の神様。  09

    ※階段の神様。



    それは、あまりに陳腐でありふれた、愛の告白。
    彼女は心の底から驚いた顔で、俺を見つめる。

    色彩に恵まれなかった彼女の後ろ、冬晴れの空だけが鮮やかに蒼い。
    それだけで許せるような気に、ほんの少しだけ浸る。
    一度眼を閉じて、ひらいて。
    彼女に一歩だけ、近づく。

    「…絆くん、ちゃんと起きてる?」
    「ひどいこと言いますね」

    一世一代の告白を。
    苦笑するけれど、まだ理解が出来ないような顔で見返された。

    そりゃあ、まぁ。
    常識的に考えたら、おかしいのは俺だろうけど。
    でも、だれ一人幸せに出来ない常識なんて、そんなの捨ててしまえばいいと思うんだ。

    「…私は、ヒトじゃないんだよ?」
    「知ってます」
    「いつ居なくなるか分からない。あるいはずっとずっと、絆くんを縛るかもしれない」
    「それも、承知の上です」

    そんな覚悟は、とうに決めた。
    何時か被る痛みより、曖昧なまま消える境界線の方が俺はいやだよ。
    まっすぐ見返した先、泣き出しそうに君はわらう。

    「意味、わかんない。だって私はもう死んでるんだよ?」
    「それは理由になりませんよ」
    「……同情ならいらないから」
    「同情で告白なんてできません」

    淡々と、向かい合ったまま声を投げる。
    目は、逸らさない。
    挑むように互いを見つめたままだ。
    躊躇うように数度唇を開きかけて、彼女は問う。

    「………なんで、あたしなの」
    「そんなの、セツキ先輩が好きだからに決まってるじゃないですか」

    間髪入れずに叫んだ。
    嗚呼、そうだよ。
    俺はあなたが、雪姫先輩がすきなんですよ。
    誰が何と言おうと、例えそれが間違いでも。

    俺は、あなたが。

    「…ばか、じゃないの」

    ふわりと、ほどけるように彼女は笑う。

    「そうですね」
    「普通、考えないよ。幽霊と恋愛しようだなんて」
    「好きになった人がたまたま幽霊だっただけですよ」

    きっといつか俺は泣くだろう。
    それでもこの選択だけは、後悔する気が起きないよ。
    あなたを好きになったこと、それだけは嘘にしたくない。

    「……そろそろ諦める気になりました?」
    「…意外にしつこいんだね絆くん」
    「ご存じありませんでした?」

    姉を真似たにこやかな笑顔。
    ようやく根負けしたように、彼女は俺に近づいた。

    一歩、また一歩。
    じりじりと距離を詰めたと思ったら、次の瞬間いきなり飛びつかれた。

    「うぁっ!?」
    「……っ」

    不意打ちに驚いてよろめいた。
    すぐに体勢を立て直すと、自分とそう変わらない位置にある頭が肩口に押しつけられた。

    冷えてはいるけれど、それは確かに体温を持っていて。
    クラスの女の子たちと、なんら変わらないはずなのに。
    ――嗚呼、きみ、は。

    「……ねぇ、絆くん?」
    「はい」

    わたしも、すきだよ。

    涙交じりに返された答え。
    俺は笑おうとして、それよりも先に視界がぶれた。

    「……はい、」

    間違いだらけの俺たちの恋は、こうして密やかに始まった。


    (あいしてる、の魔法を)



    階段の神様。でした。
    何時か絶対泣くって分かってるのに、絆は無謀だなぁ、と思ったり思わなかったり。
    でも彼が自分で選んだ答えなので、きっと後悔はしないのでしょう。

    いまさらですがセツキにはちゃんと足はあります。
    透けてたりとかもしません。
    見た目は幽霊っぽくないです、大丈夫です(何が)

    そのうちちょっとした違いみたいのが書けたらなぁと思ってます、はい。
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    HN:
    祈月 凜。
    年齢:
    33
    性別:
    女性
    誕生日:
    1990/10/10
    職業:
    学生。
    趣味:
    物書き。
    自己紹介:
    動物に例えたらアルマジロ。
    答えは自分の中にしかないと思い込んでる夢見がちリアリストです。
    前向きにネガティブで基本的に自虐趣味。

    HPは常に赤ラインかもしれない今日この頃。
    最近はいまいちAPにも自信がありません。
    MPだけで生き延びることは可能ですか?

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