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書きたいものを、書きたいときに、書きたいだけ。お立ち寄りの際は御足下にご注意くださいませ。 はじめましての方は『はじめに』をご一読ください。
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    階段の神様  03

    ※階段の神様。



    「今日は職員会議だから、生徒は早く帰らなくちゃいけないんじゃないの?」

    微笑んだまま、彼女は問う。

    「あー…まぁ、そうなんですけど…」
    「あと、フェンスには登っちゃだめだよ。危ないから」

    ダメだ、と言いながらも叱る口調ではまるでなく、どちらかというと俺の行動を楽しんでいるような声だ。
    上履きの縁の色が緑だから、三年…俺よりひとつ上か、と考える。
    やけにその上履きは白くて、買ったばかりのようだ。

    「先輩こそ、帰らなくていいんですか?」
    「私は良いの」
    「(…なんつー言い訳だ)」

    適当感満載の言い訳に、突っ込みを入れる気力すら湧かない。
    まぁバレなきゃいいんだろう、と思ってよしとする。

    たん、と軽い足音を立てて、彼女は俺に歩み寄る。
    紺色のセーラー服から覗く手足や顔は白く、どこか人間離れしたような雰囲気だ。
    どこかで見たことがあるような気がして、内心首を傾げる。

    二歩近づいたところで彼女は手にしたデジカメを見つけて、楽しそうに目を輝かせた。

    「わぁ、それ可愛い。デジカメ?」

    赤くて小さくて、いかにも女の子が好みそうなデザイン。
    くれた相手が相手だから、当然なのだけれど。
    軽く掲げて見せると、興味津津な顔で見上げられた。

    「えぇ。…持ち出したの今日が初めてなんで、全然撮れてないんですけど」
    「あー、それで屋上だったんだ。ここからの眺め、綺麗だもんね」

    そう言って彼女はにっこりと破顔する。
    綺麗な顔立ちをしていたから大人っぽく見えていたけれど、笑うとたちまち年相応の顔になる。
    姉とは正反対、と思ってこっそり苦笑する。
    その苦笑を見つけられたらしい。
    彼女は不思議そうに首を傾げたけれど、すぐに再び笑顔を見せた。

    「私、菅原 雪姫(すがわら せつき)。君は?」

    あっさりと、なんでもないことのように。
    普通に考えたら、こんなところで初対面の先輩に、名前を教える理由も教えられる理由も、存在しないのだけど。
    決して不快ではないやり方で距離を詰められて、俺は問われるままに口を開く。

    「春日、絆(かすが きずな)…です」

    …可愛らしい響きの自分の名前が、実を言うとあまり好きではなかった。
    かすが、と言うどこかおっとりした苗字と相まって、名簿で見た時に絶対『春日さん』と呼ばれるし。
    一番ひどかったのは小学校の頃、好きだった女の子に『絆くんって、女の子みたい』と言われたときだ。
    そりゃ小学校の時は女子の方が成長早いだろうよ、と家に帰ってだいぶ凹んだ記憶がある。

    「絆くん、か」

    この人はどんな反応をするだろう。
    可愛い名前だと苦笑するか、それとも笑うだろうか。
    見つめた顔は、確かに笑みを乗せたのだけれど。

    「綺麗な名前だね。呼びやすいし、親しみやすい」

    それは、今まで言われたことのない、回答だった。
    ぱしりと瞬いた目、そこに彼女は華やかに笑う。

    「初めまして、春日 絆くん。これから――よろしくね」

    その『よろしく』は。
    残念なことに、とてもとても短い期間だけのものだったのだけれど。

    それでも確かに、あの時俺はその言葉に幸福を覚えたんだ。


    (雪の君と結ぶ縁)




    第三話。
    あまり雪姫さんが変人にならなかったな…うぅむ(何それ)

    わたしはちっさい頃は名前でからかわれる側だったので、名前を褒めてもらうとめちゃくちゃ嬉しくなります。
    名前は大事なんだよ。
    その人をかたちづくるモノだから。

    漢字の意味とかね、音とかね。
    ちゃんと素敵な、願いがあるんです。
    名前はなんだっけ、最初にもらう愛情だとかなんとか。

    …何を語りたかったんだろう?(えー)

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    祈月 凜。
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    1990/10/10
    職業:
    学生。
    趣味:
    物書き。
    自己紹介:
    動物に例えたらアルマジロ。
    答えは自分の中にしかないと思い込んでる夢見がちリアリストです。
    前向きにネガティブで基本的に自虐趣味。

    HPは常に赤ラインかもしれない今日この頃。
    最近はいまいちAPにも自信がありません。
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