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※こばなし。
不完全な二人組。
ひたり、と。
頬にふれた手は冷たくて、私の頬も冷たくて。
一瞬、ほんとうに触れ合ったのかも分からなくなる。
涙でゆらゆら霞んだ視界、あなたはすこぅしだけ、笑った。
「…自分が願ってあげないで、どうするの」
あなたの声は、優しい。
どうしてそんなに穏やかなの、どうしてそんなに柔らかなの。
私なんかにかけてもらえるような、ぬくもりじゃないのに。
何かを言いかけて開いたくちびる、けれど言葉は見つからなくてまた噤む。
あなたの手が、数度私の頬を撫でた。
「君が、君の幸せを願ってあげないで、どうするって言うの?」
「…で、も、」
幸せになっちゃ、いけない気がするの。
私が、私なんかが、幸せになっちゃいけない。
あなたを、あの人を、彼女をあの子を誰もを。
傷つけてきた私なんかが、しあわせになる権利なんて。
どこにも、在りはしないのに。
「僕は君の幸せを祈ることはできるよ。だけどそれだけだ」
「…っ」
「君を幸せにしてあげられるのは、君しかいないんだよ」
幸せを決めるのは、君の心だから。
当り前のような言葉、だけど今の私にとっては何よりも難しくて。
堪え切れずに目線を外す私に、それでもあなたは優しく笑う。
嗚呼、嗚呼。
どうして、どうしてそんな目で私を見るの。
どうしてそんな目で、私を見ることができるの。
綺麗な貴方の瞳に映る、弱くて脆くて汚い私。
それだけで胸が痛くて、いたくて。
涙がこぼれた。
それを丁寧にぬぐって、あなたは言う。
「君は、幸せにならなくちゃいけないんだよ」
おまじないのような言葉。
そしてある意味で、呪いのようなことば。
私の心に、深くふかく染み込んで、突き刺さって。
きっと一生抜けることも、溶けることもないだろうと予感めいたものを感じた。
「どうか、幸せに」
あなたは続ける、変わらない柔らかな声で。
ゆるりと顔を上げて見つめたのは、私によく似た顔。
私のいとしい可愛い、片割れの貌。
「幸せに、なって」
例えばあなたの願ってくれた場所に、私がたどり着けたとして。
けれどそこにあなたが居ないことを、私はだれより知っていた。
(白と黒、朝と夜、君と僕)
(永遠に切り離せない、けれど永遠に交われない)
ふわっと浮かんだものをぱしぱし打ってみました。
双子の姉弟…かな?たぶんボカロの歌姫とその亜種を今日読んでたのでその影響かもしれません。
なんていうか、こういう不健康な関係が好きです。
不完全で不透明で、曖昧な。
こんなんばっか書いてるから「病んでるよ!」って言われるんだろうなぁ…(遠い目)
なんか最近うっすら仄暗いのばっかり書いてる気がします。
次は明るいの書くぞー。