[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
※仮想世界。
カナリアスカイの続きもの。
青と風姫。
「青くーん、プール行こうよ」
「断る」
「うん青くんは参加決定ね」
「ちょっと待て風姫お前人の話聞いてるか!?」
勢いよく青が振り返ると、風姫は屈託なく笑って返した。
これを見ると彼が脱力してしまうのを知ってか知らずか(おそらく後者だ)、彼女は機嫌よく言う。
「えー、だって青くんに拒否権ないよ」
可愛らしい声と顔で、なんてえげつないことを。
蓮はいったいコイツのどこに惚れたんだ、と少し離れたソファに座って藍と何やら話し込んでいる彼を眺める。
視線に気づいて顔を上げた蓮は、にっこりと笑って青に手を振った。
それに力なく手を振り返しながら、小さく呟く。
「…俺は人権まで奪われたのか」
「基本的人権くらいは尊重してあげるけど。でも今この空間あたしルール発動中だから」
「お前はジャイアンか?」
ナチュラルにジャイアニズム。
どうして俺の周りは人の話を以下略。
「…で、プールがどうしたって?」
「あ、うんだからねー、みんなで夏休み行こうよって」
みんな。
当り前のように口にされた言葉が、少し眩しくて目を伏せる。
まだ、慣れない。
自分がそこに、含まれていることに。
「…ふーん」
「あたしでしょ、蓮でしょ?あと蒼さん青くん藍くんに、楚夜ちゃん」
「兄貴はバイトだから都合つくとして…あとの奴らは?」
「んっとねー、桃花さんのお花屋さんの定休日に、優さんたちにはお休み取ってもらってる」
かしかし、と慣れた手つきで風姫はケータイを操って、液晶画面を青に突き出した。
眉を寄せてそれを覗きこんで、彼はさらに脱力する。
「…あいつも来るのかよ…!!」
「えー、当たり前でしょ?」
差出人『晃くん』。
本文には丁寧に絵文字付きで、了承の旨が書かれている。
つまりは――他でもない、鶴見 晃も参加ということ。
三割増しで騒々しいことが予想出来て、ついに青は椅子の背に突っ伏した。
風姫に誘われた時点で平穏で在るとは思えなかったが、ここまでとは。
さよなら静かな夏休み。
たぶん今年は、今までで一番の賑やかさに包まれること間違いない。
「楽しみだね、青くん!」
彼の胸中を分かっているのかいないのか(そしてこれもおそらくは後者だ)、風姫は満面の笑顔を向ける。
もう笑うしかなくて、青はぐったりと天井を仰いだ。
こうなったら全力で楽しんでやる。
投げやりな前向きさで口にした言葉を、聞いて彼女は嬉しそうに笑った。
(造り物の極彩色が、踊る)
この二人のコンビは書き易い。
でもわたしが書くとなぜか次男は振り回され役ですww
ごめんね愛はあるんだよ…!
うちの子はナチュラルに話を聞かないので、ツッコミのセイが苦労するという。
まともに会話できるの氷雨だけだよ!
とりあえず今回でみなさん名前を出してみました。
ちなみにこの時点ではまだ楚夜に連絡はいってません。
直後に「あ、楚夜ちゃーん?風姫だよっ。みんなでねぇ、再来週の水曜日プール行くんだけど、楚夜ちゃんも来ない?」と電話して、いろいろ諦めた楚夜がそれを了承するという。
風姫は軽やかに身勝手です。
でもちゃんと相手のこと考えてる…ってこれ前も言った気が。
仮想世界の夏休みはまだまだ続くよ!