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「あれ、」
「なんです?」
「いや、出かけなかったの?今日遊びに行くんじゃなかったっけネズミの国」
「あー…いえ、わたしは、用事があったから。っていうかネズミの国ってやめてくださいよ生々しい」
「でも事実でしょ?…残念だったね、楽しみにしてたのに」
「…別に、気にしてませんよ。わたし一人に予定合わせさせるわけにもいきませんし」
「…嘘つき。凹んでるくせに」
「煩いです」
「否定しないんだ?」
「したって無駄って知ってますから」
「素直じゃないなぁ」
「素直なわたしなんて気持ち悪いだけですよ?」
「たまにはいいと思うけどね。…ほら、おいで」
「?」
「…落ち込んでるみたいだから慰めてあげるって言ってるの。察しなよそれくらい…」
「あははすみません。…じゃあ、ちょっと、だけ」
「おいでよ、全部聞くから」
「…別に、もう子供じゃありませんから。気になんてしてません、ほんとうに」
「…うん」
「ただ、なんていうか昔っから、わたしこういうのは運ないんですよね。イベントがあるときって、たいてい体調崩したり、仲間外れにされたり」
「あぁ…緊張すると眠れないしね、君」
「それで次の日ふらふらしてたりとか。だから、慣れっこなんですよ行けないのも、待ってるのも。…でもちょっとだけ、淋しかった」
「…別に、行けないことが淋しいんじゃないんだろ?そりゃ、行けた方がずっと良かったに違いないけど」
「えぇ。…わたしのこと、誰も気にかけてはくれないんだろうなって、思ったら悲しかったんです。あぁ結局のところわたしは『その中』には居ないんだろうなぁって」
「友達が嫌いなわけでも、嫌われてるわけでもないのは分かってるんだよね」
「もちろんですよ。…でもきっと、誰もわたしのこと、思いださなかったと思うんです」
「そんなことないよ、って言っても、信じないよね」
「…そうですね。たとえ事実と反しても、わたしがそう見てしまったらわたしにとってはこれが真実ですから」
「…なまじっか自分の世界が明確で理論だってると、こういう時に困るね?思考で雁字搦めになってる」
「…ごめんなさい」
「ん、ごめん怒ってないよ。続けてくれる?」
「…嫌われては、居ないと思うし…仕方のないことだし、どうしようもないっていうのもちゃんと分かってます。ただ、淋しいなって思ったら止まらなくて、世界もわたしも終わっちゃえば良いなって」
「頭では分かってても、心がしんどいこともあるんじゃないの」
「…嫌ですね、そういうのは。分かってるならその通り動きたい」
「それじゃただの人形だよ」
「それでも良いなって思ったんです。できることなら人形になりたかった」
「…思いつめたね、また」
「そうでもありませんよ。…ただ、そうやっていじけたり、彼女らのことを羨んだり、そういうこと考える自分が情けなくて不甲斐なくて。こんなわたしだから、置いて行かれちゃうのかなって、思ったりして」
「…考えすぎだよ。自分でも分かってるんだろう?」
「悲劇のヒロイン気取っちゃって、ばかみたい。自分のこと最低って罵って、誰かに否定して欲しくて。だけどその言葉だって信じられないくせに、わたしは本当に我儘」
「はい、ストップ」
「…先輩?」
「自分のこと苛めたって、良いことないよ。それよりは優しい言葉の一つでもかけてやれた方が良い。…ただでさえ、君は自分のこと嫌ってるんだから」
「…分かって、ますけど」
「だったら、自分を責めるのは今日だけでも止めにしよう。それよりゆっくりお風呂にでも入って、泣きたければきちんと泣いて、それから明日のこと考えよう」
「…わたし、あの子たちに会ったら、ちゃんと笑えるかな。暗い顔は、もう見せたくないんです」
「…大丈夫だよ。そのためにも今日はちゃんと休もう。ね?」
「…はい」
「良い子だ。…大丈夫、ちゃんと整理がついたらいつもみたいに笑えるよ」
お題消化作。