[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
※カレとカノジョ。
シリーズはこれにて終了。
『命題:ただひとりの愛しい人の命と、その他ひゃくにんの命。天秤にかけるならば、どちらをその手に?』
あー…まぁたどっちを選んでも悪者扱いされそうな問いかけだよねぇ…。
別に良いけどね、何言われようが。
そうだね、俺は。
どっちも助けない、かな。
驚いた?鳩が豆鉄砲食ったみたいな顔してるよ。
うん、俺はどちらも助けないよ。
…理由?それはたぶん、思ってるよりも簡単なこと。
俺がもしもね、制止を振り切ってでもカノジョを助けたとしたら。
…あの子は、きっと自分が背負った命の重みに耐えきれない。
いつだって傲慢な利己主義の顔をしているけれど、ほんとうはとても脆くて優しい女の子なんだよ。
だから自分の代りに助かるはずだった百人のことや、それを愛した誰かのこと。
そういうのを考えた時に、きっとあの子は幸せになることを放棄する。
そんなの、俺は嫌だね。
あの子は幸福そうに笑ってなくちゃいけないんだよ、本来ならば、俺の隣で。
だから俺は、彼女を助けない。
だけど、ね。
それが百人を助ける理由にはならないんだよねぇ、俺にとっては。
あの子の命を捨ててまで、助けたいと願った命じゃないからね。
平等なんじゃない?ある意味で、とても。
結果だけではあるけどね。
俺はどちらも、助けないよ。
シリーズ完結です。
構想は出来てたんだけどやけに時間かかったな…。
とりあえずこのシリーズ終わらせないと何もできないことに気付いて慌てて終わらせました(笑)
どうしてもカレはオチというか、最後に使いたかったのでカノジョとセットにできませんでした。
多分最初に彼を書けばよかったんだろうな…終わったことだし気にしませんが!
次は雨三部作に手をつけたい…!
五月とか言ってたけど余裕で梅雨に突入のお知らせですよ。
良かったのか悪かったのか…。
※カレとカノジョ。
お題固定のモノローグ。
『命題:ただひとりの愛しい人の命と、その他ひゃくにんの命。天秤にかけるならば、どちらをその手に?』
え?えぇ…と。
またずいぶんと、唐突な質問ですね…?
唐突で、脈絡もなくて、とても難しい。
…これって答えを出さなくちゃ、いけないんですか?
うーん…ここで『愛しい人の命に決まってる』って即答できないわたしは、不誠実なのかしら。
あぁ、だけどどうしよう困ったな、やっぱり難しい。
救えるものなら、もちろんあの人の命を救いたい、けど。
でも、わたしは…ごめんなさい、失う百人の命の重みに、耐えきれない。
自信がないんです。
百人と、それを愛してた何百人って人の涙を、受け止められる自信が、ない。
…そして、たぶん。
自分の保身のために、あの人を捨ててしまうかもしれない、わたしを。
恐ろしいことに、きっとあの人は赦してしまう。
それを理解していてなお、…理解しているからこそ、かしら。
わたしはその決断を、してしまうと思うんです。
…酷い恋人ですね、わたし。
だから、せめて。
わたし自身は誰より痛烈に辛辣に、これ以上ないくらいの自己否定を含めて。
あの人を失うことを許した自分を、呪って恨んで憎んで嫌って、そうして生きることを続けたいんです。
例えあの人が、それを望んでなくたって、そんなのわたしには関係ない。
失ったのは事実で、それを赦したのはわたしなんですから。
…いやだ、ごめんなさい。
変なことを言ってしまいましたね。
忘れてください。
えぇと、だから、そうですね。
結論を出すのであれば、『ひゃくにんの命を救う』になるのかしら。
ヒーロー的な答えにならなくって、申し訳ないけれど。
だけど救われなかった側に、きっとわたしも含まれる。
…ねぇ、あの人はそれを、わらってくれるのかしら?
同じ命題でそれぞれの答えを書いてみよう!と思い立ってみました。
うだうだとそんな話が続きます、あんまりおもしろくなくてすみません。
もしかしなくてもシリアスです。
でも彼女はちょっと面白い答えを考えてくれるかも、と期待しています(えー)
トップバッターはカノジョでした。
次はだれにしようかなー。
※カレとカノジョ。
「あ、」
「なに?」
「枝毛」
呟いて彼女は、自分の髪をつまむ。
少し眺めて、けれどすぐに指を離した。
しゃん、と髪が元の位置に戻るのを、なんとなく眼で追ってしまう。
「ほんとは、見つけたらマメに切った方が良いんですよね、たぶん」
興味がなさそうにそう言って、髪の毛を後ろに流す。
柔らかに背中で弧を描く、茶色い髪。
実は彼女のその髪に触れるのがひそかなお気に入りだというのは、未だ伝えたことがない。
きっと告げたら、ひどく複雑そうな顔をして。
困ったように微かに首をかしげて、それからそっと微笑うのだろう。
当り前のようにその光景が目に浮かぶあたり、俺はもうだいぶ彼女にやられているのだと苦笑した。
「伸びたよね」
「そう…ですね。この前切ったのが、もう三カ月くらい前になるのかな」
後ろから抱きしめて、髪を掬った。
猫っ毛で絡まりやすいそれは、確かにすこし傷みが目立つ。
「うーん…やっぱり羨ましいです」
「何が…誰が?」
「真っ黒で艶々で、さらさらのストレート」
「…あぁ」
言われて、彼女が羨む髪の持ち主の姿を思い浮かべた。
神様の子供。
血が通っていることが信じられないくらいの、人形じみた美貌の少女。
彼女の見事なロングヘアは、確かに驚くほど綺麗だ。
「よし、やっぱり切ってこよう」
ひとつ頷いて、思い定めたらしい。
何かを決めた後のどこか晴れやかな表情で、彼女は俺を振り返る。
「美容院行くと、なんとなく気分が変わるんですよね」
「…そういうものなの?」
「なんとなく、ですけど。まるでお姫様みたいに丁寧にシャンプーとか、ブローをしてもらって。女の子気分が上がるというか…」
「へぇ…」
そこで彼女はくすっと笑って、楽しそうに言う。
「それに、担当の美容師さんが格好いいんですよー」
「…ふーん?」
抱きしめる腕に、ほんの、ほんの少しだけ力を込めた。
「どんな人なの?」
「爽やか好青年、って感じの、明るい人ですよ」
「…君爽やかキャラって苦手とか言ってなかった?」
「その人は良いんです、なんか許せちゃう感じだから」
俺が嫉妬しないからか、割合彼女はこういう話を素直に聞かせてくれる。
進んで話すことはあまりないが、問えば教えてくれることがほとんどだ。
『先輩は妬いてくれないからつまらない』と拗ねたように言う彼女は、俺の独占欲の強さを知らないのだ。
見せてないだけ、言っていないだけ。
その方が余裕を取りつくろえるし、何より油断した彼女から多くの情報を引き出せるから。
笑顔で必要な情報を集めて、そこから計算と戦略を立てていること。
君はずっと、知らないままで良い。
「ついでだからトリートメントもしてもらってこようかな」
「良いんじゃない?つやつやになるよきっと」
…まぁ、流石にね。
職業でそれをする相手を攻撃したりは、しないけれど。
「いつ行くの?」
「そうですね…次の土曜かな…」
「よし、じゃあその後はデートしようか。いちばんに俺に見せて?」
「ふふ、分かりました」
だけど、切った髪を口実に。
甘やかされるのが下手くそな彼女を、思う存分甘やかして可愛がってあげようかな。
きっと困り果てた顔で、恥ずかしがるに違いないから。
そんな君に、さらに甘い言葉を告げてあげる。
それくらいの意地悪は、許されるだろう?
「…楽しみだな」
「えぇ、可愛くしてもらってきますから」
「ん、期待してる」
おどけたように笑った彼女の指先に、キスしてちいさく微笑んだ。
(罠は気付かせずに張るものだよ)
髪切りてぇえ…!!(お前か)
わたしのゆっるい天パは、伸びてくるとわっさー!ってなるから鬱陶しくてたまらんのです。
でもがっつり梳くと髪が好き勝手はしゃぎまくるので困るのです。
いまでこそ「ゆる巻きですが何か?」みたいな顔してますけどね(髪が)、これあと10センチ切ったら縦横無尽に跳ねまわるよこいつ…!!
でも髪切りたい。
どうでも良いことをぐだぐだ語ってしまった…。
あ、ちなみにこの後カノジョは美容師さんに遊ばれて、ふたつ結びとかにされてちょっと落ち込む、というネタがあります(笑)
で、終わる時間に迎えに来てくれてたカレに見つかって笑われます。
そしてカレはしばらく拗ねたカノジョに口を利いてもらえなくなります(長い)